2010年11月30日火曜日

金沢競馬、存続年限を明記へ 経営評価委最終報告案

 金沢競馬の存廃問題について議論する有識者らの委員会の最終報告に、同競馬の存続年限が明記される見通しになった。年限までに収支均衡や黒字転換を果たせない場合は事業を廃止する方向だ。石川県の谷本正憲知事は競馬事業への税金投入に否定的な見解を示しており、過去の利益で積み上げた基金の残高もにらみつつ、存廃問題の結論を出す。
 29日開催した金沢競馬経営評価委員会(丸山利輔委員長)は、来年度以降の存続年限を年内に策定する予定の同委の最終報告書に明記する方針で一致した。具体的な年限は、約24億円ある基金で競馬関係者への補償金やリース残高の一括償還といった事業廃止の費用を捻出できるよう定める考えだ。
 金沢競馬は2007年度から3年間で存廃を判断する計画だったが、リーマン・ショックで判断を1年延期した経緯がある。10年度も収支は赤字の見通しで、同委は先行きの見通しが厳しい以上、存続年限を明確にすべきだと判断した。
 石川県の競馬事業局が公表している事業廃止のシミュレーションでは、失職する競馬関係者への補償金額が6億~12億円と幅があり、税金投入のリスクを回避しつつ存続できる年限は試算しにくい。
 同県は経営改善に向けたコスト削減策や廃止の場合の補償条件などを競馬関係者と交渉する会議の設定も検討する。
 谷本知事は25日の記者会見で金沢競馬について「税金を投入してまで維持するのは理解が得られるか、よく考えなくてはならない」と述べていた。(日本経済新聞)